白峰三山縦走の二日目。
北岳山荘から間ノ岳・農鳥岳を超えて奈良田温泉まで下る。大門沢の下りは標高差が約2,000mでCTが6時間という足がやられるコース、この下りが今日の勝負だろう。道中はまさかのハプニング(?)もあったが、南アルプスを十分に満喫する事ができた後半戦について書いていきます。
北岳山荘→間ノ岳
二日目も快晴だ。
前日の夜に一人で飲み過ぎてしまい眠い目をこすりながらテントの外に出ると、日の出×富士山のナイスビューが広がっていた。富士山がキレイに見える北岳山荘ならではの景色に、眠気も吹っ飛び早々に出発の準備を済ませた。





雲ひとつない快晴、久々の稜線歩きが本当に嬉しくて思わず早足に。
しかし、ここでまさかの出来事が。
間ノ岳まであと少しというところで、見覚えのある顔が向こうから歩いてくるのが見えた。 目を凝らして凝視していると、向こうもこちらに気づいた様子。
よーく見ると釣り友の坂本氏がでかいザックを背負って歩いて来ていた。標高3,000mでの遭遇は結構奇跡的だと思う。昨日ずっと1人で歩いていたこともあり、知り合いに会えた事がすごく嬉しかった。(単にずっと一人が寂しかった)
坂本氏と別れた後は間ノ岳へ。山頂には海外からの登山客がたくさんおり、色んな人の写真を撮ってあげたのだが、北アルプスには韓国人・中国人が多く、南アルプスは欧米人が多い印象を受けた。(完全な偏見、たまたまだと思う)ようやく、富士山だけではない日本アルプス縦走の魅力が世界に伝わり始めたのだろうか。





間ノ岳→農鳥岳
間ノ岳に立ち寄り広河原に下山するのが北岳・間ノ岳登山のベーシックなコース。間ノ岳を過ぎると人はグッと少なくなる。白峰三山の縦走はここからが正念場と言える。
残る関門は二つ。
一つ目は農鳥小屋から農鳥岳までの精神を壊す登り。
二つ目は大門沢のとてつもなく長い下りだ。
特に大門沢の下りは疲れた足腰に強烈なダメージを与えてくるだろう。



まずは農鳥小屋に到着。
農鳥小屋には有名な主がいる、ネット界隈では「農鳥小屋のオヤジ」と呼ばれる名物オーナーで、Twitterで調べると「オヤジが腹立つ!こんな小屋二度と来るか!」との批判の声もあり、山で皆を怒らせるオヤジさんがどんな方なのか、お会いするのが楽しみだった。
農鳥小屋で飲み物を買いがてら少し話を聞いてみると、クセはあるけど嫌な感じはなくすごく良い人だった。 私と同じく農鳥岳まで向かう学生らしきソロハイカーと談笑していて、彼に「ゆっくり自分のペースで登るんだぞ」とアドバイスをしてあげていた。普通に人の良いオヤジだった。農鳥小屋でトイレをお借りし、水を購入してから出発したが、トイレはかなり強烈で山にいるなぁ〜冒険感あるなぁ〜と感じさせてくれる良い場所だった。さすが老舗の農鳥小屋、一見の価値あり。
農鳥小屋から農鳥岳までの登りはやはり強烈だった。自分向けではないが、オヤジさんがソロハイカーに伝えていたアドバイスを私も守り、自分のペースでゆっくりとこまめに休憩をとりながら進んで行った。1時間ほどで農鳥岳山頂に到着。塩見岳、光岳、聖岳など南アルプス深部の山たちが見え、華やかな北アルプスの山たちとは一味違う、一つの山塊がどでかい迫力満点の景色だった。いつか南部にも必ず訪れることをこの風景に約束、し下山の路についた。



農鳥岳→奈良田温泉
前述した通り、農鳥岳から奈良田温泉までの大門沢下りが白峰三山の最後の砦だと思う。とにかく進むしか道はないので、無心で下った。途中の記憶はほぼ無いぐらい、長くてヘビーな下りだった。ただ、途中の大門沢小屋で食べるカレーは下りが長くて辛い分、超普通のカレーにも関わらずとんでもないうまさだった。疲れてる時のご飯が何より美味しいですよね。
ちなみに、S氏に後日聞いたところ大門沢小屋のトイレも強烈だったとのこと。まぁそうゆうところも登山の楽しみ。コースはまだまだ半分だったので、駆け足で奈良田温泉まで向かう。到着時はこのボリュームコースを歩きをえたことによる達成感でいっぱいだった。






※2018年9月の超大型台風により大門沢ルートの橋が崩壊し通行不可になったと言うニュースを目にした。北岳肩の小屋のHPに情報が記載されているので、今シーズン行く方はよく調べて計画を立ててほしいです。