11月中旬、冬山シーズンが始まり、モンブランの会では次の登山計画を立てていた。
赤岳で美濃戸山荘までの道のりのアイスバーンを体験している私たちにとって、厳冬期登山は登山口までの車でのアクセスも重要検討事項の一つ。
黒戸尾根は登山口までのアクセスも容易であり、一度は歩いて見たいコースであったため、今回は2016/12/10-11の一泊二日で厳冬期の甲斐駒ケ岳に登ることにした。
甲斐駒ヶ岳|黒戸尾根とは
南アルプスの名峰、甲斐駒ケ岳の伝統的な登山道である黒戸尾根。
登山口の尾白川渓谷駐車場から甲斐駒ケ岳山頂まで標高差2,200mを行く超ロングコースであり、鎖場や梯子が多く日本三大急登のひとつと数えられているらしい。登山を嗜む人であれば一度は聞いたことがある超ドMコースで、ハイカーの憧れでもある有名な登山道。
普段なら標高差2,200m程度でビビる我々ではないが、冬の山は甘くない。モンブランの会史上最大難易度、厳冬期黒戸尾根への挑戦が始まったのだった。

day1 尾白川渓谷駐車場→七丈小屋
朝8:00、黒戸尾根の入り口である尾白川渓谷駐車場に到着。
快晴でとても暖かく、これから2,967mまで登るとは到底思えないほどのどかだった。このギャップも黒戸尾根の持ち味かもしれない。


スタートしてほどなく枯葉地獄に突入。
枯葉の踏み抜きはやっかいで、とにかく足首を捻りまくりイライラがMAXに到達していたころ、視界が開けて我々と縁が深い鳳凰三山が姿を表した。

歩き始めて3時間、ようやくの眺望に気持ちが高まる。
さらに進むと黒戸尾根の眺望ポイントの一つである刃渡りに到着した。甲府盆地の眺望を堪能しながら、刃渡りをサクサク進みます。



最初のハイライトである刃渡りを超えて黒戸山へ入る。
道中ではいくつかの神社を超えた。甲斐駒ケ岳は信仰の山と聞くので、神社が多いんだと思う。心の中で安全祈願をしながら決して立ち止まらずに足を進める。5合目から七丈小屋までが要注意で、足場凍結状態の中ハシゴや鎖場が連発していて気を抜けない場所が続いた。ここは初日で一番気を使った箇所だった。
アイゼン装着なしで進んだが、凍結箇所も多かったのでつけたほうが無難かと思います。



スタートから6時間が経過し、七丈小屋に到着した。
小屋の中はしっかりとした布団が敷いてあり、とても気持ちよく眠れそう。疲れました…飯を食ってビールを飲んで寝ます。


day2 七丈小屋→山頂
朝6:00に出発。
風は強いが天気はとても良い。8合目で朝日を望むべくどんどんと登って行き、しばらく進むと稜線に出た。厳冬期黒戸尾根の本番はここからで、稜線はとにかく終始余裕がなく大自然との勝負といった感じ。景色がよく気持ちが高揚しているが、気を抜いたらそのまま数百メートル下まで滑り落ちるであろう雪道であるため、慎重に一歩ずつ進みます。



登りはとにかくピッケルを深く差し込みながら3点支持で必死に登ったが、登りは行けるけど「これ、下り大丈夫か?」と思わせる急勾配がいくつもあった。(実際下りはかなりハラハラする箇所が多かった)
そんな極限状況の中、いよいよ山頂が見えてくる。
強風&急登に体力を奪われていたが、山頂が見えてからは無心で登った。山頂かと思いきや偽ピーク!という登山あるあるもあったが、目的地が見えると自然と力強く足が進んだ。






偽ピークを超え、ついに山頂に到達。
稜線に出てからの2時間は油断できない道が続き恐怖ばかりを感じていたが、山頂では自然と笑顔になれました。登山は山頂への道のりが厳しければ厳しいほど、達成感を感じるものなのだと改めて実感した。



厳冬期の黒戸尾根では途中何度も身の危険を感じた。
これほどに緊張感のある山行は久しぶりだったが、山頂では自然と笑顔になれた。一人では登頂できなかったであろう厳冬期の甲斐駒ケ岳。特に黒戸尾根を制覇できたのは自分の自信に繋がった。O氏とT氏に感謝、記憶に残る山行の一つになりました。
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