番外編|鳳凰三山での恐怖体験記 2015年3月19日

南アルプス
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そういえば、残雪期の鳳凰三山で遭難しかけたことがある。

今でも当時の経験は鮮明に思い出せる。

大事に至らなくて本当に良かったと思うが、二度と同じような事を起こさないために、自分への戒めの意味を込めて当時の体験をここに残させて下さい。

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安易な計画変更は命取り

2015年の3月、O氏と2人で残雪の鳳凰三山へ向かった。 計画時は青木鉱泉から地蔵岳ピストンを予定していた。 朝3時、青木鉱泉の入り口に着くと、青木鉱泉までの道が通行止になっていた。この時点で調査不足なのだが、御座石鉱泉への道は開放されていたため、安易に御座石鉱泉から地蔵岳のピストンに計画を変更した。

御座石鉱泉の駐車場には車は一台も止まっていなかったが、特に気にせず朝3時半から登山を開始した。 燕頭山あたりまでは快調に進んだ。鳳凰小屋まであと1時間程度の場所から登山道の様子がおかしくなる。残雪が腐って、踏み抜き地獄がスタートしたのだ。ラッセルの経験は無く、とにかく雪をかき分けて必死に前に進んだ。(この時点でトレッキングポール一本を崖の下に落とし失ってしまった)




燕頭山から鳳凰小屋までらCT2時間だが、実際は3時間以上かかっていたと思う。胸あたりまで踏み抜くことも多々あった。(今思うとゾッとする状況だ) なんとか鳳凰小屋に到着したが、慣れないラッセルによる疲弊がひどかったため、少しだけ仮眠することにした。

雪山の足跡にも要注意

鳳凰小屋でO氏と会議。
この踏み抜きでは地蔵岳まで登ることは難しいと判断し、鳳凰小屋から下山することとした。これは唯一の英断だった。しかし、せっかくなので青木鉱泉方面に下山しようという誤判断をしてしまった。これが非常にセンスのない判断だった。来た道を引き返せばよかったのに、この判断が非常に誤った選択となり、遭難未遂を招いてしまったのだった。

まだまだ余裕がある
この男も同様に気を抜いている

鳳凰小屋から沢沿い進んだ。ちょいちょいトレースを見失ったが、途中でワカンの足跡を見つけた時は、「これでもう大丈夫だ」と2人で安心した。足跡に沿ってしばらく進んでいると、凍った滝の付近で急に足跡がなくなったのであった。

何が起きたのかよくわからなかったが、頼りを失った我々は、ひたすら赤テープのトレースを探した。 沢沿いを進んでいたが、トレースは崖の上にあった。とりあえずコースに戻り安心したいので、崖を登りなんとかトレースの元にたどり着く。


崖を登ってはトレースを見失い、崖を下って登ってを繰り返し、徐々に体力がなくなり気持ちも焦り始めていた。

引き返す勇気が大事

もう正直どこを歩いているのかわからなかった。トレースも見つけられず、地図を頼りに沢とその周りを彷徨った。 途中、1mほど積もった雪をかき分け、まだ水が冷たい川を膝までつかなりながら渡ったりした。これは遭難している、まじでヤバイと思った。

引き返しておけばよかったと何度も思った。買って数回しか使っていないMountainHardWearのハードシェルも雪の上を滑ったりラッセル地獄を繰り返してボロボロになっていた。足も思うように動かなくなってきた。陽も落ちてきていよいよまずいと思った、色んなことが頭を駆け巡る、このまま遭難したら助けは呼べるのか、明日の仕事はどうしようか、不安で胸がいっぱいだった。

朝3時半から昇り始め、12時間以上が経過していた。もう自分の足が動かなくなってきており、O氏に何度か「先に行ってくれ」と言った気がする。しかし、雪が少なくなるにつれ徐々にトレースも追えるようになって来て、踏み抜きも少なくなって来た。コースに戻ることができた時は本当に安堵した。その頃にはすでに18時を過ぎており、ここからは疲労との戦いだった。 青木鉱泉のドンドコ沢を下りながら、木の枝が人に見えたり、ただの岩が人工物に見えたり、幻想すら見え始めていた。

ラストまで容赦なし

青木鉱泉に到着した時は20時を回っていた。 青木鉱泉から白樺林を1時間歩くと御座石鉱泉までの近道があるが、抜けれる気が全くしなかった。舗装路を通れば、朝封鎖されていた青木鉱泉のゲートに辿り着くので、そこから徒歩で御座石鉱泉へ戻ることにした。追い討ちをかけるように雨が降って来た。そして、歩いている途中に林の中で光る目が何個も見えた。山を甘く見たことを神様に怒られているようだった。

なんとか2時間かけて御座石鉱泉へ戻ることができた。本当に、生きていることに感謝した。 着替えていると、御座石鉱泉の女将さんが我々を見て、驚いた様子で声をかけて来た。どうやら今日は誰も入山していないらしい。我々も山の様子を伝え、途中足跡を辿っていたが途切れていたことも伝えた。

すると、

「昨日一人で入山した人がヘリで救助されているから、君らが追ってたのは多分その人の足跡だね。」

と震え上がるようなことを言って来た。鳳凰三山は最後の最後まで容赦なかった。

今回の体験から得た教訓をまとめると、以下の3点。

 1.下調べをしっかりと行うこと
 2.安易に計画を変更しないこと
 3.引き返す勇気を持つこと

計画時に市や区町村のHP、直近で山に訪れた人のSNSなどでしっかりと山のコンディションを下調べすることが最重要。過去数日誰も入山していないような山なんて特に要注意。

また、立てた計画は安易に変更せず、迷ったら引き返すという選択肢をしっかりと選べることが大事だと思う。

さらに今回は装備も足りなかった。
ワカンかスノーシューがあれば幾分楽になっただろうと思う。(もしかしたら遭難していなかったかもしれない)
道具の準備は必ず侮っては行けない、命と引き換えになりますからね。。

最後に、山岳保険には入っておくことをオススメします。
モンベルの保険など安く入れるので是非。(私もこの一件があってから速攻で保険に加入しました、ビーコンはさすがに未対応…)

色々なことを学ばせてくれた鳳凰三山と共に乗り越えてくれたO氏に感謝。鳳凰三山恐怖体験でした。

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